おでかけの日は晴れ

お休みの日は映画を観におでかけ。時折、旅行。

「星空下的傾情」第二夜

以下の文章は、私が1998年に作った個人サイト「快楽有限公司」の中でアップしていたもので、CSで放映された、トーク番組「星空下的傾情」についていた日本語訳を拾って文字起こししたものの第2夜の分と、その感想です。

第一夜はこちらです。

mioririko.hatenadiary.jp

 

星空下的傾情
(第2夜)

 


梁家輝 今日はスゴイですよ。
張國榮 林建明の私生活。
梁家輝 さっき本番前までは僕たちの恋愛について話しました。
張國榮 僕たちは話したので、次は林建明。
梁家輝 あまり聞いたことがないから。
林建明 気にしてないでしょ?
梁家輝 でも幸せそうだから。

建明は自分の結婚観を語る。仕事と恋愛が両立出来ず、結婚にも失望していたこと。しかし、ようやく自分の仕事も認めてくれる男性に出会ったことなどを話す。それを受けてカーフェイが、「僕は結婚と恋愛はいつもセットにして考えていた」と話し出す。レスリーが途中で「僕も15で結婚を考えた」と口を挟み、「僕はそんなに早くないよ」とカーフェイが答える。
マギーは、結婚を考えてはいても、性格や生活が合う人が見つからないと語る。「どうしても我慢できなくなっちゃって」の言葉に、レスリーは大きく頷く。


張國榮 合う人を探すのは大変。生活を共にしなくちゃならない。受け入れられる相手でないと。僕は恋愛に真剣だけど、誰でも起きた時、口が臭いし、オナラだってするだろ?
林建明 アハハハ。そうね。
張國榮 我慢しろよ。一緒に寝てて、自分がオナラしたらどうする?
林建明 愛は互いを受け入れること。
張國榮 でも我慢出来なくなる時もある。
林建明 歯を磨けって言えば?
張國榮 言うと摩擦が起きるだろ?
張曼玉 じゃあ、あなたの口臭を楽しむ。
張國榮 違う。同居のコツを覚えるには時間がかかる。
梁家輝 我慢じゃなくって全てを受け入れる。誰にでもあること。女性は月に一度、何かが来る。「え? 来たの? じゃあ、ダメか」 機嫌も悪いし、腹痛もある。何故僕が機嫌を取らなきゃいけない? でもそれを理解してあげなきゃ。我慢じゃない。自然な事として受け入れなきゃ。
張國榮 僕は毎日一度は電話させられた。
梁家輝 電話で互いが安心する。繋がれていると思うんだよ。
張國榮 居場所は? 何の仕事? 今何してる?ってね。
梁家輝 それで喜んだり安心したりする。
張國榮 帰ったら今日したことを話す。それはいいことだ。
張曼玉 もし片方が電話は不要、いや、一日に3回、いや、一度で十分とかすれ違いが起こる。だから合う人を探す。毎分居場所を知りたがる人は私はダメ。逆に関心ゼロの人もダメ。だから合う人が見つかれば幸せ。
張國榮 ますます彼女がわかった。彼女には愛してくれる人が必要。
梁家輝 女性だもの。
張國榮 愛して欲しいけど、自分の主張もある。自由でいたいんだ。私に指図しないで。市場も行く、夫の世話もするけど、どこの市場で何を買えって指図されるのはダメ。
張曼玉 (ニコニコしながら)急に理解したわね。
張國榮 愛してるけど制限されたくない。彼女は愛されやすい女性。機会があればアタックしたい。僕なら上手に愛せる。前にも言ったよ、君に惚れるかもって。結婚は彼女としたい。
レスリーは臆面もなくこう言ってるが、マギーに対して言ってる筈なのに、ずっとそれを建明に向かって喋っているのだ。時折マギーのことを指差しているけど。いつも人の目を見て喋るレスリーだけど、この時ばかりは、その距離の取り方がなんか可笑しい。そしてマギーはそれを終始笑いながら聞いている
張曼玉 上手に愛せるのと、惚れるのは別の事よ。愛し方を知ってて喜ばそうとしても、それは本心じゃない。
張國榮 勿論、本心だよ。今のはプロポーズじゃないけど…、
梁家輝 不自然な手は失敗するぞ。
林建明 (カーフェイとマギーに)2人は以前、付き合ってたとか。
梁家輝 そう。
張曼玉 でも恋愛じゃない。
梁家輝 どっちかといえば不倫。
張曼玉 そう、不倫。
林建明 きゃはははは!

ここらへんのカーフェイとマギーは、文章には出来ないけど殆どお互いが同時に喋ってて、言葉が重なっている。「僕が言うよ」「いいえ私が」ってな感じがする。

張曼玉 あれは――、
梁家輝 美談じゃない。友達に申し訳ない。
張曼玉 私に・・・?
梁家輝 そう、あの時は――、
張曼玉 食堂で奥さんと3人でランチした。
梁家輝 新聞に(カーフェイとマギーの噂が)載って、お互いの為によくないから――、
張國榮 一旦別れる?
梁家輝 違う。一緒に映画見たりしてると、
張曼玉 私に恋人出来ないからって。
梁家輝 僕は既婚者だし、妻が理解してれば他はどうでもいいけど、彼女への影響が心配で、人に僕たちの関係を話すなと言った。
張國榮 バカだな、お前。
梁家輝 確かに。彼女にも説教された。
張國榮 その場にいたら僕もするよ。
梁家輝 彼女の涙に教えられた。
張國榮 そう、最低だよ。

マギーは一瞬手で顔を少し隠して、照れくさそうに笑う。

林建明 (やけに楽しそうに)教えて!
張曼玉 やだ。泣くよ。
林建明 どんな風に? ただ泣いたの?
梁家輝 そう。
張國榮 僕がいたら許さなかったよ。
梁家輝 僕は友達に迷惑かけたくない。親友なら特に。そうでしょ?(マギーはちょっと肩をすくめて笑う)まだ独身で恋人もいないのに。(マギーはペロっと舌を出してみせる)僕たち夫婦と彼女の関係を書かれて、周りは彼女をどう見る? それで僕なりに考えた。
は 彼女のことは考えた?
梁家輝 僕が悪い。彼女の気持ちを考えなかった。
張曼玉 ショックで泣いた。友情ってこれだけ?って。 私達の友情はもっと深いと思ってたから。私のためなのはわかるけど、なぜ友達でいられないの? ショックで泣いて・・・、何言ったか忘れたけど・・・、ダメって言った。(笑)

マギーと建明は明るく笑ってるけど、カーフェイだけは困ったような顔をして少し俯き加減で笑ってる。レスリーはやけに神妙な顔をしたままだ。

張曼玉 私は会いに行くって。結局彼は謝った。
林建明 奥さんは理解してくれた?
張曼玉 私と奥さんの方が親友よ。
梁家輝 妻は僕たちの関係を知っているし、どういう付き合いか知ってる。僕たちが手を繋いでる写真とか、一方的な報道で誤解はしない。
林建明 可愛い奥さんよね。
張曼玉 本当に。(と何故か微妙な顔で笑って頷く)
梁家輝 僕、見る目あるし。
張曼玉 確かにあの奥さんだから私達も友達でいられる。彼女じゃなきゃ、こうはいかない。
梁家輝 そういう人がいないとつらい。ここまで来たから言うけど(と、カメラ目線で笑い)芸能人、俳優、歌手、表現者、アーティストであっても生身の人間。感情もあれば家庭問題も、自分の思想もある。皆と同じなんだけど、僕たちは上手く問題を処理してると思われている。
と、ここでいきなりレスリーが立ち上がり、カーフェイの話を邪魔しないように、そっとカーフェイとマギーの前に膝まづいてカーフェイの空いたグラス中にワインを注ぐ。そして黙ってマギーにも勧めるが、マギーは首を振ってそれを断る。すると今度はレスリー、建明のグラスにワインを注いで、再びソファに戻る
金と名声で上手く処理してるとね。その上、幻想を描いて僕たちを美化する。それが皆の見方。

レスリーは最後に自分のグラスにワインを注ぎ、それを一気に飲み干している。

林建明 あなたも一人の人間だものね。
梁家輝 そんな風に見られるのはプレッシャー。
林建明 でもそれは仕方のないこと。芸能界にいる限り。それも受け入れなきゃ。
梁家輝 だから観衆は責めない。責める気はないけど。だってこの番組のおかげで寄付が出来る。
林建明 (笑って)そうねー!!
梁家輝 (笑いながら)好きなこと言ってお金を貰える。
張國榮 飲もう!乾杯!!(と、レスリーはすでにまた自分のグラスにワインを満たしてたよ。しかもなみなみと…! 4人で乾杯する。)
林建明 いい事言ってくれた!
張國榮 CM行って行って!

CMがあけ、建明のアップから。彼女はやけに元気良く

林建明 裏切られた経験は?

すると、あらら、なんと3人はすっかりゴキゲン!レスリーはまた席を移っていて、マギーとカーフェイの間にすっぽりとおさまって座っている。顔もほんのり赤い。マギーは腕組みをしている。レスリーの片手はそのマギーの膝の上。そしてもう一方の手はカーフェイに腕組みされている。カーフェイとレスリーは声を揃えて

張國榮梁家輝 (声を揃えて)何回もあるー!
林建明 私は友達にひどいことされて、その時、心痛とは何かわかった。胸がしめつけられた。
張曼玉 (身をのりだして)どういうこと? 教えて?

レスリーは何故だか軽く「ふふ」と笑う。カーフェイはさりげなく自分の背にあてていたクッションを取ると、それをレスリーの背中に差し入れてあげている。
建明は、自分の恋人が三つ又かけていて、その一人が自分の親友だったことを知ったショックを語る。そして「みんなは裏切られたことは?」と再び尋ねる。


張國榮 裏切られたよ、アルゼンチンに。

それを聞いたカーフェイは、レスリーの腕をポンポンと軽く指で叩きながら笑っている。

梁家輝 話してよ。(笑)
張國榮 先に言うけど、トニー・レオンはいい人。変わってるけど善人だ。現地で病気になって帰ってこれたのは彼のおかげ。
林建明 それで友情が深まった?
張國榮 そう思う。撮影中に下痢したんだ。
張曼玉 予防注射した?
張國榮 してない。そんなに不潔だとは思わなかった。インドやアフリカじゃないし。
梁家輝 南米だって危ないよ。
張國榮 着いた直後は暇で食事に出た。3日目に下痢。もともと胃腸が弱いから気にしてなかった。食べ物に慣れてないと思っただけ。その3日後、トニーも下痢して、彼が持ってた薬を飲んだら治った気がした。でも飲まないとまた下痢。その日、食事の約束してたけど、(ここでカーフェイがそっとレスリーの肩に手を置く)本当に辛くて、普段医者に行かない僕が医者へ行った。でも医者は適当でおなかを押しただけ。何の検査もなし。胃腸の調子が悪いだけ。お粥を食べろって。外国の人がお粥なんていうの、驚いたね。(笑) 薬が出たけど、飲み終えるとまた下痢。(眉をしかめて)変だと思った。
張曼玉 何回下痢した?
張國榮 その時で8回ぐらい。
林建明 力が出ないでしょ。
張國榮 下痢が始まって3週間、
張曼玉 毎日?
張國榮 毎日。薬をやめるとまた下痢。
張曼玉 気付くの遅いわよ。
張國榮 トニーに言った。「本当にヤバイ…。アメーバじゃないか」って。でもトニーは、「ここはブエノスアイレス、アメーバは川の近くだ」って言う。僕が正解。そこは川に近かった。(笑) 彼は香港に電話すると言った。友人が医者だから。「明日の朝にはわかるよ。大丈夫だから。おやすみ」ってね。朝6時、トニーが扉をドンドンと叩いて、本当に病気だって言う。インターネットで(医者に)連絡したんだ。彼は今や僕の医者でもあるけど、2分後に電話で折り返すと言った。2分後、彼は病気の特徴を聞いて、「アメーバ菌だ。すぐ薬を買え」っと言った。強い抗生物質で、食事も制限されて、10日間お粥と塩卵だけ。塩卵も本当は食べない方がいい。帰ってきた時はこんなだった。(と、頬をへこませてげっそりやつれた顔をしてみせる)
梁家輝 すごいよね。アルゼンチンに塩卵がある。
張國榮 (笑って)中華料理屋にあったよ。飽きるまで食った。先生に聞かなかったら知らなかった。
林建明 危なかったんでしょ? 同業の一人も同じ病気で亡くなった。

マギーはお菓子の入っている器を取り、それを膝の上に置いて食べながら、それを無言でレスリーにも勧める。レスリーもそれを食べながら喋っている。

張國榮 聞いた話だけど、手術したら死ぬらしい。菌が広がって。
林建明 そうらしいわね。
張國榮 急に脱水症状で倒れて、周りが知らないで手術したら、それでバイバイ。(と、手を振ってみせる。そして急に真顔で)だから王家衛とは合わない。毎回危険な目にあう。サソリもそう。「欲望の翼」でアンディ・ラウとフィリピンで20mの高さの駅の屋根を走った時、屋根が数箇所壊れてるって言う。走って逃げる場面でそんなこと言われたって。(と、マギーが爆笑する) 二度目がサソリ。三度目がアメーバ。次は死ぬかも。

カーフェイは手を伸ばしてレスリーの肩にまわし、あやすようにその肩をポンポンと叩く。

林建明 (やや神妙な顔で)生き返ったも同然ね。今回の経験で何か学んだ?
張國榮 命や友人の大切さを学んだ。
林建明 自分が生まれ変わった?
張國榮 そう思う。
林建明 偉仔(トニーの愛称)とはもっと仲良くなった?
張國榮 彼はいい人。でも入りこみがたい。なかなかピンと来ない。彼はロックが好きで、僕とカリーナが麻雀してる横で大音量で聴くの。(と困ったような顔をしてみせて、笑う) 彼はお茶が好きで、阿Bと仲がいい。茶道に凝っているけど、僕はティーバッグで十分。お茶に45分もかけるなんて。僕が麻雀の最中にお茶をいれてくれて、茶碗が熱い時と冷たい時と香りが違うって説明するけど、僕は鼻がつまってて感じない。彼の生活は優雅で面白いけど。(と、またポケットから点鼻薬を取り出し、鼻にシュッシュする)

林建明 今はお互いに理解してる?
張國榮 お互い帰ってくると電話する。
梁家輝 今回の病気でピンと来たんだ。本来は違うタイプなのに。
林建明 病気でつらい時、誰を思い出した?
張國榮 辛くなかったよ。落ち着いてたよ。
林建明 死ぬかと思った?
張國榮 うん。うん。財産の配分を考えた。母は高齢だし同居してない。家を一軒あげただけ。お金は全然ないから、電話して先に渡すべきか。親友たちのことも考えなきゃならない。治るかどうか、わからなかったし。

と、急に建明は立ち上がってマギーの腕をつかみ、「(3人で)くっついてないでこっちへおいで」と、自分の座ってたソファーに連れて行く。「2人でお喋りしよう」と。そしてマギーに、以前ケガをした時のことを聞く。頭を17針縫ったそうだ。「髪の毛太くなった?」と聞くレスリー。「やけに髪にこだわるのね」と建明に言われて、「自分が薄いから人のが気になるんだよ」と笑って答えてる。CM。

CMがあけると、再び席は、建明とレスリーが同じソファに、そしてマギーとカーフェイがもうひとつのソファにと戻っている。建明はマギーに、結婚は具体的にいつ頃したいのか尋ねる。

張曼玉 相手があってのこと。いつでもいい。決めても無駄。人には、真剣に付き合って毎回失敗するって言われるけど、私は2~3年かけなきゃ、自分に合うかどうかわからない。2ヶ月で結婚なんて早すぎる。人を理解するには2年は必要。合わないと思っても再度確かめる。別れにも時間は必要だし。
林建明 良い妻になり自信は?
張曼玉 多分大丈夫。
梁家輝 友達として言うと、彼女は準備出来てる。
張曼玉 素質ある?
梁家輝 あるある。でもそれを発揮する相手がいない。重要なのは相手を見つけること。僕も良い観衆がいて始めて最高の演技が出来る。
林建明 (カーフェイに)あなたは成人指定映画でお尻を出したけど―――、
張國榮 きれいだったよ。
林建明 あんなに美しいのは? 撮る時恥ずかしくない? どんな気持ちだった?
梁家輝 多分こう。僕は俳優としては全てを見せられる。ある部分を見せるか見せないか、じゃない。1つの役を演ずるなら、覚悟は常に出来てる。
林建明 写真集を考えたことは?
張國榮 男では僕が第一人者。
梁家輝 僕も持ってる。
張國榮 男の写真集は僕が最初。
林建明 裸のは?
張國榮 ない。それだけは苦手だな。―――体の正面は見られたくない。そこが自分のボーダーライン。正面は見せられない。後ろはいい。もう見せたし。
林建明 デビューの頃と人気が出た今の、成人指定映画に出る違いは?
張國榮 前は騙されて出た。今は自分の希望。あれ? 希望?
林建明 「違い」よ。
張國榮 違いは・・、今は自分の希望ってこと。ベルリン映画祭に出せる成人指定。20年経ってやっと安心して出れる。20年も昨日のことみたいだけど。
林建明 マギーは成人指定映画は?
張曼玉 出れます。
林建明 そう? どの程度まで?
張國榮 胸も出せる?
張曼玉 全然気にしてない。
張國榮 (笑いながら)一つ目は僕に見せて。一つ目は一緒に出よう。
張曼玉 一つじゃイヤ。両方見て。(笑)
張國榮 絶対一緒に出よう。カーフェイでもいい。ベテランだから成功するよ。
張曼玉 出るかどうかわからないけど、共演者や報酬は関係ないわ。
張國榮 心の準備はいい?
梁家輝 (軽くマギーの腕をつついて、何か諭すように)意見を聞いているだけだよ。
張國榮 準備は出来てる?
張曼玉 まだだけど、出るのは平気。今の所特に計画はないけど、何かの撮影で急に脱ぐかもしれない。ムードの問題ね。
林建明 正面の全裸でも大丈夫?
張曼玉 裸は女としてはなんでもなこと。
張國榮 これは映画を撮る上で重要なこと。(と、裸だけを撮っても面白くないことを立ち上がって説明してから)どう? 絶対面白くない。顔が見えなきゃ。気分と、監督からの説明が必要。何故脱ぐ必要があるのか納得しなきゃ。いきなり脱げって言われてもそれは僕の商売じゃない。僕の売り物は芸術。もし分けるなら安物と芸術は紙一重。だから僕は芸術なら出る。
梁家輝 いずれにしてもつらいよ。僕も脱いだ時は芸術だと思ったけれど(と、急に吹き出して)結局そこだけが話題になった。(笑)
張國榮 (真顔で)あの映画は芸術的だよ。
梁家輝 (まだ笑いながら)最初はそうは思わなかった。脱ぎたい訳じゃなく、脱ぐ動作が一つの表現だと思った。誰もパンツを穿いて風呂に入らないし。でも、結局、そこだけ強調されて傷付いた・・ ・・。皆、尻だけ褒めて表情は忘れてる。
張國榮 あっはははは。
梁家輝 (笑いながら)誰も表情は覚えていない。どうする? 何に救いを求める?
張國榮 (お尻を浮かせて撫でながら)自分で慰めるしかない。(と、言いながら今度はお菓子の器に手をのばし、それをほおばる)
林建明 (笑いながら)次はお尻に顔を描けば? みんなプロとして細かいことは気にしない訳ね? (レスリーは軽く頷く)
何か後悔したことは?
梁家輝 もう一度したくても出来ないことがある。一生かけても約束出来ないこと。どうしても出来ない役や、演技がある。自分に合わないとか依頼が来ないとか。
林建明 やりたくても依頼が来ない?
梁家輝 そう。
張國榮覇王別姫」の蝶衣?
梁家輝 ・・・・・・。僕があんな化粧をしたら、まるでロッキー。(レスリーはまるで勝ち誇った子供のように楽しそうに笑う)そこまでいかなくても、あれはあの映画の中の化粧。他には使えない。でも一生の中で後悔は必ずある。絶対ある筈。望んでも出来ないことが絶対ある。
張國榮 僕は何もない。ハリウッドに進出しなくて幸いだと思ってるし。
林建明 でも俳優の憧れじゃない?
張國榮 香港も俳優には素晴らしい場所。この3人も多少、いやかなりの名声を得てるし、アジアは巨大な市場なんだ。この上、中国市場が開放されれば米国からも撮影依頼が来る筈。こんな大市場があって、昔は手当たり次第撮ったけど、結局実力ある者だけが残ってる。監督でも俳優でも彼らは自分で力をつけた。良い映画を撮って、それが国際的レベルならなおよい。ハリウッドにも中国人は出る筈。国際的映画の出演依頼が来て、シュワルツネッガーとトム・ハンクスとの共演なんて絶対ありえない。やり方も違えばエージェントもいる。誰が誰を選ぶなんて、契約で決まってること。何故、そんな所へ行く必要がある? 香港では僕が№1。№2に誰がなりたい? 僕はいやだ。

と、ここでCM。
CMがあけると、4人は今までのソファから移り、今度は円いテーブルを囲んで椅子に座っている。


林建明 円卓に来たのは、目を見て本音を聞きたいから。(と言って、隣に座ってるレスリーとカーフェイの顔を交互に覗き込む) 皆、一つずつ互いに質問しあって。答えなくても結構。答えるなら絶対本音を言って。いい? 誰から?
梁家輝 僕。
林建明 どうぞ。・・・・・・。誰に聞くの?
梁家輝 あ、僕が聞くの?
張曼玉 (手を上げて)じゃあ私から。まずレスリー。皆にきれいと言われて―――女性なら美人よね。美貌を失うことは恐い?
張國榮 別に。誰でも年を取って衰えるけれど、大事なのは年相応の優雅さ。優雅だと思われるには、そこまでの過程と心の準備が必要。普段はあまり鏡も見ないし、コンサートではプロが僕にあった化粧をするけど、普段の外出に化粧なんかしない。
張曼玉 男でよかったわね。
張國榮 サングラスもしない。皆、「しないの?」って聞くけど。何故する必要がある? 年取って斑点が出来ても、それが僕なんだ。悪いか?
張曼玉 うーん、その通り。
梁家輝 (小さく拍手する)
張曼玉 きれいと言われるのは辛い。だんだん恐くなる。
張國榮 (小さく頷く)
張曼玉 (カーフェイに)カーフェイは所帯持ちよね。独身は自分のお金を自由に使える。でも家庭があると娘の進学だとかプレッシャーじゃない?
梁家輝 確かにあるけど、問題は僕が人生に何を求めるか。うーん、以前は自分のすることに満足していた。今も同じだけど。今は自分のことだけじゃなく、広く考えていきたい。両親、妻子、友達含めてね。上手く出来ればいいんだけど、そうなったら、最高に満足。いつかそうなりたい。

建明は何か言いたげにレスリーを見るが、レスリーは、手元にある小さな紙を、子供のように無心に折ったりちぎったりしながら、物思いに耽っている様子。でも、ふとカメラに気付き、急いでそれをやめる様子が可笑しい。

林建明 プレッシャーを乗り越えて成功したい?
梁家輝 プレッシャーは絶対にある。両親の言うとおり勉強してたら僕はここにいないけど。
張國榮 マギーに質問。映画の出演を引受けるまですごく考える?
張曼玉 撮影の3ヶ月間、楽しく出来るか考える。良い映画か、楽しく撮影出来る人達かも含めて。もう10年もやってきて、年も取ったし、毎日を楽しみたい。3ヶ月も後悔したくない。あわない人達との3ヶ月は悲劇よ。
林建明 真面目に聞きたいの。(マギーに)何故、そんなに演技が上手いの?
張曼玉 何故・・・・?!
張國榮 「黄色故事」からじゃない?
張曼玉 「旺角カルメン」から。「黄色故事」でははっきりわからなかったけど、努力して考えて演技した。「旺角カルメン」で演技は表情だけじゃないとわかった。考えていることが目に表れる。一つラッキーなのは、比較的敏感な性格だったこと。人を観察するのが好きで、それが積み重なって―――、
張國榮 (テーブルに少し身を乗り出して)「ラブソング」の詩の場面だけど―――、
張曼玉 あれはダメ。
張國榮 結果より先にあの涙。スゴかった。
張曼玉 うーん・・、その場面の感情を想像する。もしひどい脚本なら自分で悲しかったことを思い出す。だいたいそう。
張國榮 「ラブソング」は?
張曼玉 問題なし。殆どはその場面の感情。
張國榮 以上です。どうぞ。(と、カーフェイを見る。テーブルに肘をついて少し前のめりで話していたが、今度は腕組みをし、背もたれにぐっと凭れて、椅子を浮かせ、ユーラユラしながら話を聞く)
梁家輝 あははー。(レスリーに)一つだけ質問。自分の心とか経歴とか、何を使って自分を動かすの? 演技や歌、常に何かに取り組んでいる。僕は仕事に疲れたり面白くない時、もう辞めたいと思うけど、君は俳優として、歌手として自分をキープしてる。その原動力は何?
張國榮 長年の経験もあるし―――、物の見方が変わった。前は金の為だったけど、今は名声をキープするため。これは大切なことだし、自分のやりたいことをする方がいい。やる気が大切なんだ。だから舞台でハイヒールも履く。目立ちたがりと言われても、それじゃ自分は出来るか? (今までシリアスな顔で喋ってたが、急に不敵な顔でニヤリと笑い、一言一言、カメラに向かって)舞台で2時間半歌えるか? 蝶衣の役が出来るか? チンピラの役は? きれいに成人指定に出れるか? 本気で出来るか? 僕は騙されない。
梁家輝 OK。じゃあ、マギー。

と、カーフェイは隣に座るマギーの顔をみつめて、一瞬の間があく。急に2人とも照れくさそうに俯いて笑い出す。レスリーも「やれやれ・・」といった感じで同様に笑ってる。

梁家輝 ・・・・面倒な親友でゴメン。
張曼玉 何が面倒なの?
梁家輝 マジメな話・・・・、観衆からの質問。(建明はこらえきれずに爆笑する。)観衆が聞きそうな話。・・・・・・・・。結婚相手が出来たら発表する?
張曼玉 自分が聞きたいんでしょ?
梁家輝 いいよ。じゃあ僕の質問。
張曼玉 どうって・・。
梁家輝 何か言って。
張曼玉 その人は自由な考えの人だから・・、
梁家輝 発想が自由で、視野の広い人。
張國榮 そう。君を束縛し過ぎない。
張曼玉 そう。えー、他に、過程も大切。命についても自由な発想。
張國榮 難しいなあ・・。(笑)
張曼玉 お金やひとつのことにこだわらず、物事にとらわれない人。
梁家輝 (頷いている)
張國榮 自分より年上の人?
張曼玉 少しだけね。
張國榮 君の条件なら35歳以上の人だね。
林建明 彼女だって32だもの。
張國榮 その「自由な発想の人」はある程度、経験がある人でしょ?
林建明 顔は?
張曼玉 うーん、悪すぎない。
林建明 (カーフェイに)仕事休んでそれぐらい?
梁家輝 一年以上。
林建明 映画以外の収入は?
梁家輝 ない。
林建明 家の経済面はどうしてるの?
梁家輝 ある時もない時もそれなりに。
林建明 あははは。飢えに備えてた?
張國榮 彼は一時、むちゃくちゃ働いていたよ。そうじゃなくて・・、
梁家輝 (いきなりカメラ目線で)香港開港以来100年、餓死者が出ないのが香港人の精神。1997年のこの日を、皆何年も心配し、憂慮してここまで来ました。僕は香港で生まれ育ち、教育を受け、ここまで成長し、自分の力で家族の幸せを支えるだけです。もう一つ言えるのは、既に金を使い果たし、苦しんでる事。
張國榮 冗談だろ。僕も彼のことは少しは知ってる。僕たちは苦しまない。不動産があるから。
梁家輝 あっははははは。
張國榮 それがなけりゃ、・・・・、この3人も野垂れ死に。(笑) 95年96年と急に(地価が)値上がったし。だからみんな助かってる。おかげで仕事も選べるし。彼が一年休めるのも家があるから。事実だろ?
梁家輝 (カメラにむかって)テレビをご覧の皆様に一言、番組をご覧になって―――、
張曼玉 私達に話してよ。
梁家輝 ダメ。ほら、2カメが呼んでる。(4人は一斉にそのカメラを見て笑う)
皆、ほら、カメラを見て!

と、レスリーはいきなり立ち上がり、カーフェイの後ろへ行き、カーフェイの首を両手でつかんだかと思うと、「必殺!オヤジの武器、肩もみ攻撃」をする。カーフェイはそのレスリーの手を更に上から掴んでる

張國榮 力を抜いてカメラと話す気か?
梁家輝 今は、家族と友人がいて―――、

建明もカーフェイの後ろに行き、レスリーも、マギーを呼ぶ。座ってるカーフェイの後ろに、建明、レスリー、マギーと並んで立ち、みんなでカーフェイの肩や腕を揉んでいる。くすぐったそうなカーフェイ。

張國榮 まとめようとしてるぞ。
梁家輝 (みんなが) 僕を、支えてくれれば満足。この番組もギャラなし。でも・・、(笑)
張國榮 黙れ。さあ、立って。(と、カーフェイの後ろから彼を抱いて立ち上がらせ、後ろにひきずっていく)コイツ、3年でも喋るぞ。バイバーイ!
張曼玉 バイバーイ!

と、3人去っていく。建明もカメラを覗き込んで「また来週!」と言い、そちらの方に一緒に消えて、おしまい

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*オマケ・りりこの所感*

4人の楽しいお喋りは、少しは伝わったかしら?
レスリー、カーフェイ、マギー、3人ともスクリーンの中とはちょっぴり違った顔を見せてくれて、とっても楽しかったです。
そして三人三様の性格の違いがとても出ていて、すっごく面白い。

レスリーはとにかく何かひとつ顔を作って見せると、それを一人一人に「見て見てッ!」って感じで全員の方に顔を向けるのね。テレビなんだからカメラに向かってそれを見せればいいのにね。でも彼はカメラを殆ど見ずに、その場にいる人に向かって一生懸命喋ってる。そんな所がとても可笑しい。
そして、とってもスキンシップが好き。誰にでもとにかく触れながら、そして目を見ながら、時には子供のように喋っているの。

マギーは全くそういうことをしない。
すっごく飄々としながらも自分の感情に素直な感じ。それもまたかっこいい。
大きな身振りで喋ったり、またはスキンシップとかは好きじゃないみたい。レスリーが隣にいってくっついても、しばらくするとそっと離れて距離を置いてるの。

カーフェイはさあ、本当に周りを読もうとする人だね。
だから例えばね、スキンシップが好きなレスリーには、彼の話を聞きながら彼の肩に手をまわしたり、腕をかるーくポンポンと叩くのね。諭すように。
でも、それはレスリーにだけ。マギーにはしない。
相手を見て、相手にあわすタイプのように感じられました。

しかし蛇足ですが、最後の方のレスリー「大事なのは年相応の優雅さ」という言葉にはずっこけてしまったワタシ。いえいえ、勿論レスリーは優雅さを好む方だとは思ってましたよ、これを見るまでは。
いやー、だって収録中、ずっとお菓子食べてたり。
「え? どこが優雅やねん?!」って感じ。
でもねー、なんて言いますか、彼は優雅を演じることは勿論出来る。けれど彼はただ「優雅」とかそういう枠だけにとらわれず、自分の感情をいろんな風に表現してみせて、それが誰かに喜ばれることを、自分自身の至上の喜びとしてるって感じがしました。そんな姿に、ホントに子供のような顔がのぞいてて、ますますレスリーいとおしく思ってしまいましたね。へへへ。