欲しいもの
なんとなーく欲しいものがあって、昨日も今日もショッピングモールの長い通路を歩いた。
一体、私は昔からこうだったのだろうか。それともここ数年のことなのだろうか。
私はただショッピングモールの通路を歩いているだけだ。
歩きながら通路沿いにディスプレイしてあるものをぼんやり眺めて通り過ぎるだけだ。
なぜか店内に入らない。
1つ1つの店に入って物を探すのがめんどくさいのか? 声をかけられるのがいやなのか。実は欲しいものは漠然としていて、でも本心からそれを見つけようとは思っていないのか。こんなふうに欲しいものに対してぼんやりとした自分がいやだ。
ああ、何が欲しいんだろう。
心安らぐ香りが欲しい。香水は直につけないけれども、ハンカチに少しだけつけ使うときにふっと気持ちが安らぐためのいい香りのものが欲しい。
ざっくりしてるけどやわらかい、シンプルなワンピースが欲しい。店で着るための。
万年筆のインクが欲しい。万年筆も出来れば欲しい。
たったそれだけなんだけど、結局見つけることもしなかったし、だから買うこともなかった。無印良品で小さな化粧水のボトルを買っただけだった。
自分の好きな店が1軒だけあって、その店のラインナップをとても信頼してて、私はそこに行けばなんでも買える。そんな店があったらいいのになとちょっと自堕落なことを思っている。