I Told Sunset About You
「ITSAY」というタグなどで話題になっていたタイドラマ
I Told Sunset About You
監督 Naruebet Kuno
出演 Teh・・・Putthipong "Billkin" Assaratanakul
Oh-Aew・・・ Krit "PP" Amnuaydechkorn
本作でのBillkin演じるTehはすごく素朴な顔をしています。
高校生時代のそれほど長くはない時間の中、Oh-Aewとの再会や心境の移り変わりを髪型の変化で少しずつ表しているところがいいですね。
PP演じるOh-Aewは率直さと弱さを併せ持った少年で、魔性っぷりが際立っていきます。
少年時代に中国劇に魅せられたTeh。そのTehの影響を受けるも、器用だけれどあまりのめりこむことをしないOh-Aew。ところが彼らの通う小学校での開催された劇でTehが望んでいた主役を得たのはOh-Aewだった。
好きなものに対してまっすぐで努力を惜しまないTehと、器用だけれど集中力の無いOh-Aewの関係性は作品通して続いていきます。
この二人の中に生まれる様々な感情を本当に丁寧に描いている作品です。アクシデントでチューとか、倒れそうになったところを助けて思わず接近、とか、そういうの全然ありません。腐女子にはじれったい展開かもしれません。でも、自分の中にある好きだという気持ちに戸惑ったことがある人、それを抑えようとしたことがある人、自分の中にある好きだという感情に恐れおののいたことがある人、そして自分の中に行き場のない欲望を見つけてしまったことがある人には、きっと刺さる作品です。その戸惑いや恐れを繊細に拾い上げたドラマです。
そしてタイドラマをたくさん見てる人は驚くのではないでしょうか。
どんなタイドラマにもつきものの、ラブコメでもシリアスな作品でも、驚き、喜び、軽い失望などなど心象風景を表す際に使われるみんな同じコミカルな効果音、あれが一切ないのです。
またBGMが多いのもタイドラマの特徴ですが、この作品では音楽をそれほど多用せず、環境音だけがあり、それも彼らの心情に深く集中するのを助けているように思います。
またプーケットでの屋外ロケをふんだんに使用した映像。何故かタイドラマで海に行くシーンが多いのですが、どういうわけか海や空の色がきれいな作品が少ないです(明け方とかまたは曇り空の日に撮るのかなあ??)。ところがこの作品の海は本当にきれいです。
シンメトリーな映像が多く、私はこういう構図にすごくぐっと来るなあ。
よく練られた脚本と素晴らしい演出。そしてふたりとも主演は初めてで、多分それまではそれほど知名度もなかったBILLKINとPPの熱演。
毎話心揺さぶられました。
日本公開が楽しみですし、さらには2021年春にセカンドシーズンが公開されるそうです。待ち遠しいです!