おでかけの日は晴れ

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『Lovely Writer』EP11感想

以下は『Lovely Writer』EP11の個人的な感想です。ネタバレしてますので視聴されてない方は観たあとにこれを読んでくださって、更にはこの回の感想を共に語り合えたらすごくうれしいです。

 

最終回前にあたるEp11。苦しい回です。同時に私はこれ、すごく大切にしたい回です。

BLドラマのいくつかが内包しているテーマ、それは人権についてだと思うんです。

9話10話のカミングアウトの問題を越え、今回は作家Geneと俳優Nubsib、世間的に露出している二人の人権について考える回でもありました。

 。。。。。

今朝起きる前にまどろみの中でこの回を反芻していて、そして突然こう思った瞬間、んがッと目が覚めました。

「俺たちの愛が彼らを殺そうとしている!!」

 

多くのBLドラマの中で、主人公たちを引き裂こうとしたり、つらい思いをさせるのは、ゲイであることを許さない親、または彼らのどちらかを愛していてふたりの仲を壊そうとする女子または男子、或いはお互いの愛情とその未来に自信が持てない不安感、などです。しかし『Lovely Writer』Ep11では今まで描かれることのなかった主人公たちを脅かす存在として「ファン」が描かれているのです。

BLドラマファンは、その物語を愛するのと同様、それを演じている俳優カップルも愛してしまいます(勿論、私もそうです)。作中のドラマ『Bad Engineer』を演じているNubsibとAeyふたりは多くのファンを持っていて、ファンたちは彼らがリアルカップルであることを妄想し、脳内で萌えを生産し続けています。しかし、現実のNubsibと作家Geneの仲睦まじい姿を盗撮した写真はたびたびネットに上がり、とうとう炎上してしまいました。ネットに様々なツイートが上がります。「Aeyが可哀そう」「もうこのドラマを観ない」、Geneへの誹謗中傷も多く、中には暗闇に気を付けな的な脅迫する言葉もありました。勿論、ふたりを擁護する言葉もありました。それぞれが皆、彼らを愛する強い思いがあり、それが激情や反発、中傷、更には別のファンダムへの誹謗などに変わっていき、まさに燃え広がるがごとくネットに言葉が叩きつけられていきます。

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冒頭数分のこのシーン。観ていてすごく胸が苦しくなりました。

私自身は好きになった俳優やドラマをこういう風に憎むことになる経験を持ってはいませんが、それでもこういう現実があることを知ってるし、ネット上で荒れているのをいくつか見ています。思い出すいろんな俳優の顔。それぞれにいろいろあって・・・いろんな人がこうやってネットで叩かれたりするよね・・。

そうして胸を痛めていて、それで次のこのシーンですよ。演出すごいな!

まず、ドライヤーの音が聞こえてくるんですよね。そして髪を乾かしているGene。そのテーブルの上にスマホ。Geneはスマホ取り上げるじゃないですか。

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『うわーーヤバイヤバイ、Geneが炎上を見つけてしまうーーッ!!』

絶対、思ったよね??

でもGeneはベッドに行き、すでに横たわってるNubsibの上にゴロンとして「写真撮ろ」って言うんです。え、かわいい・・・。(そのGeneの髪の匂いを嗅ぐNubsibもまたかわいい・・・)

「インスタに?」とNubsib。

『いかんいかん、インスタ開いたら炎上目にするよ!』と再び焦る私。

「いや、写真を家に送ろうと思って」とGene。

『ああ、なんかこれが最後の思い出の写真、っていうフラグ?もしかしてGeneはそういうつもりで写真撮ってるの? なんかNubsibの顔が最初俯いたままで微妙に暗いけどほんとはNubsibだけが気付いてるとか? それともこの楽しいBGMは、つまりふたりはまだ気が付いてないってことーー???』

私はこの短くてキュートなシーンでめっちゃグルグル考えてました。

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ファニーフェイスを作り続けるこどものようなGene。そのGeneにNubsibはキスをする、その流れの可愛くて美しいこと!

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年下Nubsibのこの慈愛に満ちた表情!

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はい、ここで私の脳内の声、赤裸々に申し上げますよ?

『あああ、君ら、しちゃうの?さっきGeneは髪を乾かしてたからすでにえっちしたあととちゃうの?また?またですか??』

で、ここでOP曲が入るわけですが、U-NEXT民の皆さん!WeTV版ではここでOP曲に字幕が入るのです。この歌詞。見てください!

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「考えるのはやめて。ただ私にキスさせて」

はっ・・・!これ、このシーンのNubsibの気持ちにめっちゃかかってる!!やっぱり・・・、Nubsibはもう全部知っているのかも・・・!!

明るい曲なのに思わず感情が高ぶって私は泣いてしまいました・・・。

歌詞はこのあと「愛を恐れないで。ただ大きな声で言ってみて」と続きます。


ポップなOP曲が終わり、また重いシーンが始まります。

Aeyが泣きながらインスタライブを行っています。

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このインスタライブの映像が出てきた瞬間、再び心臓が跳ね上がり、胸が痛くなりました。きっとこれを思い出す人は多いのじゃないでしょうか。検索すればすぐに辿り着く、ずっとYoutubeにアップされたままのタイの某俳優がやはり泣きながら、過去に共演したある俳優との過去のことや決裂したことについて、ファンの質問に答えつつ語っているあの胸が痛い映像のことを。頭の中であれと結びついたのです。しかしAeyが語っているのは、Geneを責めないでとか、私たちは皆、うまくやっている、というようなことで、そして最後に「誰もがNubsibAeyのことを忘れないよう願ってます」と涙ながらに語っています。恋をしてるAeyの哀しみなのか、もしやファンから同情を買うためなのか、ふたりに対して多少の悪意があるのか、その感情は微妙です。ただ、そのインスタliveを行ったAeyはすぐにファンから多くの愛や同情と同時に、侮蔑を、誹謗中傷を、受けるのです。

当初、AeyはNubsibが好きでGeneを脅かす存在のように登場しましたが、Ep9で実はAeyがひそかに恋をしていたのはGeneだと分かりました。どちらにせよ二人の仲を裂こうとするヴィランとしての位置にあるだろうと思ってました。しかしこれを観るとどうやらそうではないようです。私はAeyが、『TharnType』におけるLhongの如く、相手を愛するがあまりに策略を巡らせ酷いことをもしてしまう、深い闇を抱えた男子として描かれることを想像していたし、そうでないことを祈っていたのです。

ただ、ここで描かれるAeyはほんとうに哀れです・・・。

 

重いシーンは続きます。P'Buaに呼び出されたHinのシーンです。Hinが初めて書き上げた小説はP'Buaから手に取ることさえ拒否され、GeneとNubsibの問題を解決しろと迫られます。

NubsibのマネージャーTumも、姉のTamからこの件、そしてTumの私生活のことまで詰られます。すべての登場人物が何かを決断することを迫られています。

そういう緊張感の高い、重いシーンが続いておいて、これですよ。

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ひっ。かわいい・・・。

プールで滑って水の中に落ちたとか・・・。はう・・なんなの、かわいい・・・。しかもなんなの、この局面でのドジっ子エピソード❤

 

彼らは、Nubsibの撮影のために海に行きました。このEp11でのここは一体どこなのでしょう。

閑話休題:Ep11の最初の部屋は、海でのホテルなのだと思います。そしてこのずぶ濡れGeneの部屋はそれとは違うため、ここは海のホテルからバンコクの多分、Nubsibが所有している部屋に移った、という設定なのだと思います)

海も、他の誰も登場せず、それが世界の終わりの前にそれを知りつつも残された時間を静かに過ごしているふたりみたいで・・・刹那の幸せのようで・・・かわいくて、そしてとても不安になります。

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Hinからの電話でGeneは外に出て、ひとり部屋に残されたNubsibの、表情は少なめだけれどその顔に、既に何かを知っているような影が落ちているようです。

さてHinに呼び出され自分の部屋に戻ったGene。そこに来たHin。

Hinはどこか落ち着きがなく、Geneに差し入れの食事など渡し、そしてようやく聞きます。「もうあのニュースは見た?」と。「見た」と答えるGene。

やはり・・・もう炎上を知ってたんだ・・・。多分、あの部屋に二人でいた時からもう知ってたんだ・・・。ここ、またまた胸がギュッとしてしまうポイントでした。

Geneはいつかこういう日が来るとは思っていたと語ります。それが、どこか諦念を感じさせるやわらかな二人の時間だったのでしょうか。それと同時に、父親にカミングアウトしたときから彼は様々な覚悟を決めていたのでしょう。このGeneの静かさに心が震えました。

さらにHinの表情にもしかしてと思い、それが確信に変わったのがHinが初めて書いた小説のタイトルが「The Editor Who Risk for Love」(これはWE-TVでの英訳です。U-Next版はThe Editor in Love)、愛のために危険を冒す編集者、ですよね。内容は作家を愛する編集者の話だとあとから出てきますが、つまりHinもひそかにGeneを思っていた、ということでしょうか。このシーンのHin、めっちゃ切なくないですか。Buaに言われたことはわかっています。でもHinは彼女が命じた仕事を遂行することが出来ません。そうしなければ自分が職を失ってしまうかもしれないことがわかっていても。そして、もしHinがGeneに恋をしていたのなら・・・彼にはどうあがいても自分の恋は叶わないことが分かっています。今のGeneの言葉の端々からNubsibとの覚悟が伝わってきていて。なのにその気持ちにまったく気が付かないからこそGeneはHinに「俺のこと、そんなに好きなの?俺に恋してるの?」なんて軽口を叩くところが、もうーーーッ!!バカバカーー!

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Hinの気持ちに気が付かず、お弁当取るときにちょっと接近しちゃったりとか、罪だよGene。

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そして部屋を去るHin。切なくてあたいは涙ボロボロ・・・。
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再び、Geneの部屋で過ごすGeneとNubsib。世界にはもしかしたらふたりしかいなくて、そしてふたりだけで何もかも乗り越えていけると思っていたんですよね。この時までは・・。

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そのあとの怒涛のシーンの苦しさは、ある意味覚悟をしていた通りでもあり、ただただその流れに身を任せるかのように観ていました。

このような事態になった場合、マネージメント会社のTamのいうことも、プロデューサーや監督が言うことも、出版社編集Buaの言うことも、すべてその立場ならその通りなのです。起きてしまったことはただすみやかに解決するのみ。すべきことは、この仕事を責任持ってやり遂げること。ただその中で個々人の自由や権利、ささやかな幸せは、往々にして踏みにじられがちなのです。彼らだけではなく、どの世界に生きる誰にもおいてもこういう局面を経験したことのない人はそんなにはいないはず。そういう意味ではこれを観ている人は皆、自分だったら・・・と考えずにはいられないシーンではないでしょうか。

 

ところでここでAeyは何を考えていたのでしょうか。

Aeyは思い出していたのではないでしょうか。自身の過去を。彼もまた、ゲイであることが親の知るところとなり、そして別れさせられたはずです。その経験をもしかしたら重ね合わせているのではないでしょうか。

 

そしてEp11の終わり、Geneは実家に帰り、そしてGeneの父親は泣いている息子を受け止めるため、彼の元に行きます。

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この『Lovely Writer』を撮っているTee監督は、映画『君の名前で僕を呼んで』を好きだったように思うのですが、Gene父はゲイだったのだが女性と結婚して子供を作り、自らの想いを封じ込めて生きている、という設定は他のタイBLにないものだし、『君の名前で僕を呼んで』を思い出させる設定です。ただ、あの映画では息子の恋を強く肯定して終わるのですが、このドラマでは悲しいかなまさにその後。打ちひしがれて泣く息子をただ受け止めるというシーンになっています。

Geneは父親に「今やっと、あなたが言ってたことがわかったよ」というのです。今では現状はいいように思っているかもしれないが、まだまだ同性愛に対する障壁がはある、と言っていた父親に、何があっても乗り越えると答えたけれど、現実の壁は思っていた以上に高かったということでしょう。

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そして最後。それでもきっとNubsibはなんとかすると思っていたのですが、なんとEp11のラストシーンは4か月後!

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ギャーーーーーーーーーッ!!

 

ラスト、3時間スペシャルでお願いしますッ!!

NubsibGeneは勿論幸せに!

Hinの初小説もヒットしますように!

Aeyも、TumとTiffyも、すべての登場人物がそれぞれの場所で幸せになりますように!!

あと、超かわいいGeneてんこもりでよろしくーー!

(画像はすべてWETVより)