フィリピン来てますよ!「Gaya Sa Pelikula」
なんか想像してた以上に好きになっちゃった。
「Gaya Sa Pelikula.」
こないだ友達と話してたんですが、タイBLの勢いもとどまるところを知りませんが、実はこれからフィリピンがすごくいい作品を作っていくのでは、と期待が高まっているようです。
「Like a Movie」という英題がついてるフィリピンのドラマ。「BL」って言っていいのかしら、もしもその単語に違和感があるとしたらゲイドラマでもヒューマンドラマでもなんでもいいと思う。ちょっと、とにかく観てみて!
Youtubeで観られますし、日本語字幕も付けられています。
(あらすじ)
2018年12月の物語。
大学建築学部のKarlは19歳になり、一人暮らしをすることに。家賃はライターのアルバイトをして賄う予定だったが、給料日当日、クライアントは姿を消し、給料は振り込まれなかった。
隣に住む男は映画学部のVlad。Vladは家族から実家に戻ることを強制され、そこで思わずKarlと恋人同士で、帰ることはできないと嘘をついてしまう。VladはKarlの家賃を払うことを条件としてそこに居候することに・・・。
このドラマ、まず、こんなセリフから始まります。
Do you ever feel like you're not the protagonist of your own story?
Like you're just a character.
I want to have a story I can call my own.
あなたは自分が自身の物語の主人公ではないと感じたことはありますか?
まるでただの脇役のようだと。
私は自分のものだと呼べる物語が欲しい。
これは、そう思って生きてきたKarlの物語。
Vladはゲイです。
KarlとVladが仲良くなってきたころ、ふたりはこんな会話をします。
Karl:You don't look gay.
Vlad:That's not compliment.
Remenber what we talked about microagressions last time?
君はゲイには見えない、と言うと、「それは誉め言葉じゃない。前に俺たちは無意識の偏見についてについて話したことを覚えてるか?」とVladは言うのです。
このドラマはそうしたことを静かに語りかけ、たびたびハッとするのです。
このドラマは映画へのオマージュもふんだんに出てきます。
Karlの部屋には「ニューシネマパラダイス」の大きなポスターが飾られ、他にも「ブエノスアイレス」や「ウォールフラワー」などの映画のフライヤーが何枚も飾ってあります。またウォッチリストに入ってる映画もウォン・カーウァイの「2046」だったり、Vladとふたりで観て語り合う映画は「天国の口、終わりの楽園」。
ところで彼らの部屋はフィリピンに住む大学生にしては豪華なマンションの部屋でオシャレなインテリアで(そういう意味ではすごく夢が詰まってる!)、そこはもう私の学生の頃と雲泥の差なのですが、でもすごくすごく懐かしい記憶がふと甦りました。それは友達だったり、または恋人ではないけれども片思いしてる相手の部屋だったり、または後輩男子の部屋だったりしたのですが、時々誰かの部屋の下宿、またはアパートに行っては映画とか音楽の話をして夜を過ごす、そんなことがよくありました。ふたりでいたら、そこに先輩が訪ねてきて3人になって、みたいな。KarlとVladの部屋にAnnaが遊びに来て停電の夜を過ごすシーンに、そういう学生の頃の無軌道な夜の記憶が鮮やかに甦りました。
さて、Annaの描き方もとても魅力的です。
Karlたちの隣人、Anna。彼女はVladの姉の知人であり、Wifiが弱いからとか停電だからとか言いながらKarlの部屋に遊びに来ます。「停電ってつい余計なことを話しちゃうね」と言いながら、彼女はシングルマザーで、実は10歳の娘がいるのだけれど、今は(元?)夫に娘を預けて仕事に集中していることを彼らに話します。子供は愛している。でも仕事もしたい。社会に関わっていきたい。そして「それに私は2年もセックスしてないのよ?」と言う。ほんとにこれってすごく良くある現実で、そしてドラマでそれがこんなふうにあたりまえに語られることがなかったセリフでもあり、ここにもグッときました。
このドラマの魅力に、音楽の使い方もあげられます。
ドラマでは2~3の曲を繰り返し使うのではなく、毎回シーンごとにいくつかの楽曲を使っています。エンディング曲も毎回違っています。ちなみにエンディングは部屋の中で映画を観ているKarlとVlad。Karlはソファに座ってますが、物語の進展につれ、Vladのいる場所が変わってきます。そしてふたりの関係性も。それもすごく楽しみですが、その後ろに流れる曲もどれも素敵です。
また、「胸の中にずっととどめていた気持ち」をダンスとして表現するシーンが幾つか出てきます。これがすごく素敵なんです。
4話のこのダンスシーンはすっごく切なかった。
そして5話の幻想的なこのシーンの美しかったこと。
ポップな曲使いとか、そしてそのシーンの多幸感に、ふとグザヴィエ・ドランの映画を思い出しました。彼の映画の中には必ず、まるで視界がわっと広がるような幸福感に満ち満ちたシーンが音楽と共に登場しますが、その感じに近いです。
5話のダンスシーンで使われている楽曲
6話の煽情的なkarlくんのソロダンスに使われている楽曲。これもめっちゃ好き。
Ben&Ben - Ride Home (Official Lyric Video)
ドラマの伝えたいことがしっかりしてること。シーンは殆どKarlの部屋が中心ですがインテリアなど素敵なところ、楽曲の素晴らしさ、そして登場人物の魅力的なこと。などなど、おすすめポイントがいっぱいです。
Gaya Sa Pelikula
プロデューサー Juan Miguel Severo
脚本・演出 Jaime"JP" Habac Jr.
Vlad Ian Pangilinan
Kral Paolo Pangilinan
視聴はこちらからどうぞ!
#GayaSaPelikula (Like In The Movies) Episode 01 FULL [ENG SUB]