A Tale of Thousand Stars
A tale of Thousand Stars
2021年4月2日(金)に最終回を迎えて以来、ちょっと心の中にポッカリと穴が空いたままになってしまっている。
今日も帰り道、春だから余計に空がけぶっていて星が見えない夜空を見上げ、「ヌーン、ソーン、サーン・・・マジ3つしか星が見えん・・・」などと思いながら歩いていた。
Tianを演じた新人のMix。そして隊長Phuphaを演じたEarth。
正直言えばふたりともどちらかと言えばあまり器用ではない俳優だと思うんですよ。
それでもMixが隊長に向けるちょっと生意気そうで挑むような笑顔とか、厳しい隊長という設定ながらもいつもの如く穏やかな優しさが出てしまうEarthの演技。いいキャスティングだったなあと思う。
村の長KhamaやPhuphaを支えるNam医師、お調子者のYod、Tianの親友Tul・・・どのキャラクターも魅力的だったが、中でもKhamaの息子で大学生のLongtaeを演じていたKhaotung、本当に良かったなあ。彼は「2gether」シリーズでもWinの友達として際立っていたし、その後の「Tonhon Chonlatee」では初主演。しかし今回は脇役ながらもLongteeの存在はパパンダオ村にいるTianを理解する大切な弟分として、本当にいい存在感を放っていた。
しかし、何よりもこのドラマがもたらす最大のもの、それは、あの場所なんだと思う。
観ていた私たちの心の中に、あの「パパンダオ村」がずっと残ってしまった。
私たちは知っている。ドラマのティザーで、またはBehind映像で。スタッフ一丸となって本当に田舎で、雨が降ると粘土質の泥が靴を重くする電気もない過酷な場所で、撮影セットである学校や家を設営し、発電機を山の上まで運び上げ、バンコクとは違う冷たい風が体を冷やす寒さの中で作られた「架空の場所」だということを。そうやって作って、撮影が終わったらまた撤収して、そこはもう撮影をする前の場所に戻ったのだろうなあ。みんなで「終わったーー!」「疲れたーー!!」って言いながらも振り返り振り返り、あの場所からバンコクへ戻ったのだろうなあ、と。
それなのに、ずっとパパンダオ村、そしてパパンダオの崖がずっと心の中に残っていて、村の人たちも、森林警備隊の人たちも、そしてPhuphaと共にパパンダオ村で生きることを決意したTianも、ずっとそこに居続けている気がする。
それは幸せな光景なのに。
なんだろうなあ。
架空の物語は幸せに終わり、私の心の中にまた小さな架空の砦が作られ、その扉の向こうで彼らは永遠に住み続けている。そこにいるのだけれど、きっと時間の経過とともに彼らの輪郭は少しずつ薄れていくのだろう。その頃にはまた私の心の中には新たな架空の場所が作られようとしていて・・・。何も不幸なことなどない。幸せなのに、なんだろうなあこの切なさは。いつも。
おでこのキスして、そしてTianの顔が観られずに視線を外す隊長・・・。これってもうEarthなのかPhuphaなのか。