タイドラマ「Lovely Writer」での音楽と音について
(このブログの最後に追記として使った音源をリンクで貼りました)
2021年春のドラマとして私が一番ハマっているのが、『Lovely Writer』です。
今回は、このドラマの「音」に関して書いてみようと思います。
監督は『TharnType』のTee監督。タイドラマの多くがそうですが『TharnType』でもシリアスな作品の中、コミカルな効果音がたくさん入ってました。
『Lovely Writer』でも効果音!効果音!目線の移動を表す音も多いし、それから気持ちの盛り上がりや誰かの言葉を待つ間の焦れる気持ちを表すドラムロールも面白いのですが、しかし!
Geneが唾を飲み込む音、これすっごく効果的じゃないですか?シリーズ前半部分、この「ゴクリ」だけでGeneが眉間に縦皺作りながらも会った瞬間からNubsibについてどう感じていたかそれを効果的に表現しています。
そしてこれもタイドラマあるあるですが結構多めのBGM。ちなみにLovely Writerの音楽は基本的に明るいですね。
まずは、軽快でキャッチーなOP曲「ONE to TEN」
このタイトルの意味は第7話で明らかにされます。
歌ってるのは,GMM GRAMMYの「Boyfriend Project」ではKachaとユニットを組んでR&B風の素敵な曲を歌ってたGavin.D。
ED曲は、CHOGUNで英語タイトルは「Maybe It’s You」
あと、ちょっとドキドキするシーンではこんな曲もBGMとして使われています。
「How to Tango」(エピデミック音源)youtu.be
ところで効果音やBGMが多いと書きましたが、実は『Lovely Writer』の音の使い方として特筆すべきなのは「無音の使い方」だと思います。
音の使い方は、ここぞというところで音楽を流すのが一般的だと思うのですが、『Lovely Writer』ではここぞというところで無音にするのです。
ちょっと私のなかで心に残った音の使い方を列記していきたいと思います。
EP1
この回の最後2分半ほど。Nubsibを連れたTumがGeneのマンションに来て「部屋空いてるよね」と聞くシーン。Geneの中でTumのその声やNubsibとの出会いなど様々なシーンがフラッシュバックするのをたくさんの効果音と音楽で盛り上げ、そしてTumがまだ何も言ってないにもかかわらず先走ったGeneの「マイッ!(No!)」のセリフと困惑するTum・Nubsibの表情と効果音、そしてOP曲が重なるこの流れが、すっごく気持ちよく、観終わった瞬間にこのドラマの第2話がものすごく楽しみになる気持ちになります。
EP2
EP1のエンディングとまったく真逆なのがEP2エンディング。ここでの音の使い方でどんなにドキドキさせられたか。
シーンはNubsibが「役作りの練習だから」と言ってのGeneとの初めてのキスです。BGMが使われてますが、キスの時、手が頬をさわる効果音が入って・・・時計の秒針の音が入って・・・キスして・・・その後、厳密には効果音は入ってはいます、風が吹くような音が。でも、音楽が途切れ、無音に近い状態が数秒差し込まれるのです。多くの場合ここで「音楽、カットイン!」ってキュー出しません?あなたの心の中の監督が。でも、それをまずは小さく裏切ります。
鐘の音がなり、私の心の中で鳴らしたハッピーな音楽とはちょっと違う、内省的で美しい曲がシーンに入ってきて、キスシーンの回想とエコーのかかったGeneのモノローグになります。そしてGeneの最後のセリフの前で、その音楽がフェイドアウトし、無音の中で「この役から抜け出してしまうのが怖かったから」の最後のGeneのセリフ。そしてノートPCが開く効果音だけで音楽がない、静かな中での監督の名とプロダクションのクレジット。なんかものすごい緊張感・・・!
うわあああああっ!ってなりませんでした?このEP2の最後の演出に!!
EP3~EP5
監督とプロダクションのクレジットが「シューッ!」という効果音だけで音楽の無いのはEP3、EP5も同様です。ただ、EP2では監督クレジットの時の一回目だけだったのが、EP3では監督、そしてプロダクションのクレジットの前にそれぞれ入ってます。
そして泥酔Geneと介抱するNubsibのシーンが最高のEP4、ラストではNubsibがGeneに好きだといい、そしてテーマ曲「One to Ten」が流れてハッピーな気持ちのまま曲はエンドクレジットに跨って繋がっていきます。
EP6
ラストはふたりの行き違いによる悲痛なシーンです。ここでPCHYの「Don't Turn The Page」という曲が最後にまるっと一曲使われ、Nubsibの悲しい顔とGeneの悲痛な泣き声を盛り上げていき、そして音楽がなしで効果音のみのエンドクレジットバージョン。
ちなみにこの曲はEP9ラストでも使われます。
EP7
このシリーズの転換点となったEP7のラスト10分は最高に幸せなシーンでした。そしてこの回の最後のエンドクレジットの効果音は、これがまた幸せなことに小鳥の鳴き声なんですよね。Geneのモノローグ、ベッドで中、深い眠りの中にいるNubsibとGene、音楽が静かにフェイドアウトして監督名クレジットのときに、ふたりの幸せな時間を象徴するかのような小鳥の鳴き声・・・❤
EP9
音楽の使い方がうまいなあと思うのは、EP9前半にある最高の(!)長めのラブシーンです。煽情的なタンゴ曲からコミカルな音楽まで、次から次へと音を入れていくのですが、ここぞというキスシーンの数秒、音楽を切るんですよね。突然そこに緊張感が生まれ、シーンは音楽に作用されず、俳優の演技とそれを観ている私たちだけのとてもパーソナルな世界になるような気がします。音は確かに多めだけど、とにかくメリハリがありますよね。
それから特筆すべき点は、このラブシーン最後、カメラがゆっくりと二人から離れて移動し、最後に映像がGeneがひとりでこっそり観ていたPC画面をとらえつつ、音楽は早めのフェイドアウトしていくのですが、そのとき、ふたりの息遣いとキスしているであろうリップ音のSEがわずかに上がるんですよね。これな!確か『TharnType』でもあったよね!カメラが離れてからのリップ音な!カメラが映してない状況で、あんたら一体どんな激しいことをっっ!
さて残りあと3話となった『Lovely Writer』、きっと最後まで楽しませてくれると思います。
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追記(2021年6月20日)
Lovely Writer使用曲をまとめました。
まずは、この曲がかかるシーンがめっちゃ好き。泣きます・・・。
Jakob Ahlbom 「Fracture」エピデミック音源なので『Fish Upon The Sky』でも使用されています。
youtu.beその他、オリジナル楽曲制作だと思うのですが「Banana Sound Studio」が担当してます。ここは『Theory of Love』や『The Shipper』などの曲も作っています。
この曲の始まりが大好き!
この曲も印象深いなあー。
youtu.beはああ、泣けてくるわ・・・。タイトルも「Sad」